担当はCOM4(審判車4)。レースの後方で車両や遅れた選手の管理をします。初のポジションなので、何をどうするればいいのか良く分からずドキドキものでした。
ちょうど数日前に、今はUCIで働いてる知り合いのパスカルから京都にいるから京都ステージを見たいとの連絡があり、TOJ関係者の方々に連絡してパスカルをCOM4に乗せてもらうことができました。パスカルから遅れた選手のナンバーチェックやその時の距離数を書くこと、集団から離れたらタイム差を計ることなどCOM4の動きを色々教えてもらえました。パスカルにもレースを楽しんでもらえたようで、「MAVICとSHIMANOが同じレースでニュートラルサポートとして走ってるなんて日本でしか見られない!」と驚いていました。京都ステージは下りが結構細いくねくね道で、全ステージの中で一番私的にはふらふらになったコースでした。
今回ドライバーを務めてくださった藤原さん&パスカルと
いなべステージでは、1周目に新城選手を含む落車が発生。チームカーは止まるし、選手たちは遅れるしで、COM4出動!落車した選手等はモトCOMに任せて、どの選手を追い抜いてきたかとかチェックしつつ、車両の隊列に付き、後ろから来るチームカーや選手などの対応をしました。最初からバタバタ〜。
レース中盤はまったりしつつ、後半選手たちがバラバラになるとチームカーの隊列を管理せねばならず。チーフカー(COM1)が前に動くと、そこにCOM3が付いてチームカーを管理し、行けそうな数だけ前に車両を行かせます。COM3が前に行きたい時は、COM4が無線で呼ばれるので、COM3がいるところまで行き車両の管理を交代する感じです。
いなべでは、ラスト1周に入る前にCOM3に呼ばれ、代わりに車両を管理することになったものの、前との差が良く分からず。何台前に行かせていいものか分からないまま細いのぼりに入ってしまいました。あとで中継の録画を見たのですが、私が知りたいところは映っておらず…。ジャンが一旦途切れていたので、前のグループとは結構差がついていたようでした。山岳ポイントに行くのぼりで道路が広くなるので、そこでチームカーを前に行かせてその後はチームカーの隊列についてレースを終えました。
その後少しして、新城選手を含む遅れていたグループがフィニッシュして来ると会場はすごい歓声でびっくりしました。あとで知ったのですが、新城選手は落車で負傷し顔から血を流しならも、集団の先頭をひっぱってアシストしていたそうで、その映像がずっとフィニッシュ地点で流れていたので、こうした大歓声になったようです。いなべのフィニッシュ地点は、オーロラビジョンを見ながらコースも見えるとてもいいロケーションなので、ぜひ多くの人に見に行ってもらいたいステージの一つです。
いなべステージはいいよ〜
美濃ステージは、中継のカメラバイクで走ったことがあるので、熟知したコースでした。最後の山岳賞を過ぎてから、レースは動くだろうと予想し、チームカーの隊列の後ろから中盤まで上がって待機。ラスト周回の上りで集団から数人が遅れ、そのグループに付くことになりました。小雨が降る中、ルーフを開けて身を乗り出し、ベテランドライバーの藤原さんのアドバイスを受けながら、下りでチームカーを数台ずつ前に行かせました。下りきって左に直角に曲がるカーブで前に行かせたチームカーと遅れた選手たちが曲がるのに邪魔にならない具合にできたのは良かったです。これもひとえに藤原さんのおかげです。
南信州ステージでは、1周目で遅れていた選手が落車、2周目同じ場所で今度は数人が落車でした。この落車で遅れた選手多数。集団は一つでレースは淡々と進んでいたものの、COM4が管理する後方は遅れた選手&チームカーの対応でバタバタ。集団との差を計ってどのくらい離れているのか把握し、集団のかなり後方で走る選手たちをチェックしながら、レースは進んでいきました。数人のグループが車両の隊列後方に復帰するも、上り区間が始まり集団まで追いつくことができず離れて行ってしまう場面もありました。
ラスト周回は、集団で大きな動きがあるだろうとかなり覚悟していたのですが、上りで集団が大きくばらけることもなく、後方は何もないまま終わってしまいました。
富士山ステージは、上っていくだけなので、チームカーに引っ付いている選手がいないかとチェックしつつ、何事もなく終了。久々に富士山のフィニッシュ地点に行ったのですが、ウィリーしてフィニッシュする選手や、最後の少しだけスプリントして競う選手たちなど、富士山ならではの面白いフィニッシュの光景でした。ライブ中継ではその模様とか一切流れていなかったようなので、ちょっともったいないな〜と思いました。ロックオンが中継してたなら表彰まで時間繋がないといけないから、流してただろうな〜。
富士山とCOM4
伊豆ステージは、例年中継でコースは把握していたもののレースで走ったことがなく、コースがくねくねなので車酔いするかな〜とちょっと心配だったんですが、全く大丈夫でした。下りで選手に追い付かれないかと後方ずっと確認したり、くねくね道でルーフから乗り出しチームカーを管理したりしました。コース途中で、Chihoと書かれた看板を持っていた観客の方がいて、びっくりしました!応援してくださった方、ありがとうございます。
最後はメイン集団から遅れた数人のグループに付き、フィニッシュしました。
そして最終日の東京。東京ステージは、ツール・ド・フランスの最終日のパリと同じようなもので、最後のゴールスプリント勝負。落車もなくレースは進んでいたのでCOM4の出番はなく、無事にTOJを終えることができました。
初めてTOJで役員として参加し、初めてのCOM4はいろいろと勉強になりました。パスカルいわく、COM4はレース全体が分かるポジションとの事。前で何が起こっているかは競技無線やラジオツールで把握し、後ろがどうなっているかは自分の目で見れる事ができ、TOJの8日間はいい経験になりました。
でも来年、ライブ中継がまたロックオンで出来るならTOJは中継で関わりたいな〜と思いました。それは、やはり美濃のケーブルテレビさんと飯田ケーブルテレビさんと一緒にやりたいからです。そもそも、2012年に美濃のケーブルテレビCCNさんに頼まれて、バイク映像と山岳ポイントの定点カメラを提供することになり、その翌年飯田ケーブルテレビさんからも同じ依頼を受け、元々ケーブルテレビさんたちが定点カメラだけで伝えていたTOJの地元ステージ中継にロックオン中継班がお手伝いするという形でした。
この6年ほどの間には、バイクからの映像が出なかったり、フジテレビのTVバイクとバッティングしないように気を使ったり、色々なハプニングを乗り越えて、お互い協力しあって作り上げてきました。ここ2〜3年で技術的にもケーブルテレビで流せる映像になり、バイク2台でライブ中継が行え、やっとちゃんと見せられる体制になりました。しかし、今年は、今までケーブルテレビさんたちがしていたスイッチングなどは新しい制作会社に移ってしまい、ケーブルテレビさんたちが撮る固定カメラの映像だけ渡す形になってしまいました。ライブ中継にはなかった表彰式のみケーブルテレビさんたちが撮影し、ケーブルテレビや現地のオーロラビジョンで流されていました。そこではTOJオフィシャルスポンサーのNTNのコマーシャルも流れていました。
その2ステージのレース映像を見たのですが、ケーブルテレビさんたちに任せた方がいいレースの見せ方をしてくれただろうな〜と思う映像でした。なんだかやるせない気持ちになりました。そんなわけで、TOJは貴重な経験になる審判としての参加も捨てがたいですが、ケーブルテレビさんたちとの関わりなど色々な思い入れがあるので、やっぱりまたロックオンでTOJの中継に関わりたいです!
この時の映像は多分今では目も当てられないくらい粗い画質だったんだろうな〜。技術の進歩はすごい。